化粧品製造とは?必要な許可や申請手順、手続きの注意点を紹介!
化粧品市場は世界的に規模の拡大が予想されており、日本から海外への輸出も増加している業界です。新規事業の開拓や経営の多角化から、化粧品製造への参入を検討している方もいるのではないでしょうか。
化粧品は、安全性が求められる商品であることから、製造・販売するためには許可の取得が必要です。
本記事では、化粧品製造の概要と必要な許可を解説します。法律で定められた化粧品の定義、許可の要件や申請の流れ、申請する際の注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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化粧品製造とは?
化粧品製造とは、化粧水やファンデーション、フェイスパウダーやボディローションなどの化粧品を製造するプロセスです。化粧品製造に関する許可は、大きく化粧品製造業許可と化粧品製造販売業許可に分けられます。以下では、それぞれの詳細を解説します。
化粧品製造業許可とは
化粧品製造業許可とは、化粧品を製造するための許可を指します。化粧品の製造には化粧品製造業の許可が必要であり、次の2つの区分が設けられています。
- 化粧品製造業許可(一般)
- 化粧品製造業許可(包装・表示・保管)
化粧品製造業許可(一般)は、化粧品の製造工程の全部または一部を行う場合に必要な許可で、包装・表示・保管も含まれます。化粧品製造業許可(包装・表示・保管)は、化粧品の製造工程のうち、化粧品の梱包作業や表示ラベルの添付、保管業務を行う場合に必要な許可です。
例えば、化粧品の製造を化粧品ブランドから受託する場合は、化粧品製造業許可(一般)の取得が求められます。国内の自社工場で化粧品を製造し、製品を販売する場合には、化粧品製造業許可(一般)に加え、次の章で紹介する化粧品製造販売業の許可を取得します。
化粧品製造販売業許可とは
化粧品製造販売業許可とは、化粧品を市場に出荷するための許可を指します。「製造」の文字が含まれていますが、化粧品製造販売業の許可を取得しても化粧品の製造はできません。「製造業許可」とは異なる許可であり、化粧品を国内で出荷する場合には、化粧品製造販売業の許可が必要です。
化粧品製造販売業は、市場に出荷された化粧品の流通責任を負います。「流通した化粧品に副作用はないか」「利用者からクレームが出ていないか」などの情報を積極的に収集し、化粧品に問題が発生した場合には、製品の回収を含めて必要な対処を行います。
化粧品の定義
化粧品は、肌や髪など人の身体に直接使用する製品です。高い安全性が求められることから、化粧品は法律上で定義付けられており、効能の範囲も定められています。以下では、それぞれの詳しい内容を紹介します。
法律上の定義
化粧品は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)で次のとおりに規定されています。
薬機法第2条第3項
この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。
※出典:e-GOV法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
皮膚にうるおいを与える化粧水や乳液はその一例です。その他、シャンプーや化粧石鹸なども化粧品に含まれます。
化粧品の効能の範囲
化粧品は、使用した場合の効能として表記できる範囲が56項目に限定されています。例えば、「頭皮、毛髪を清浄にする」「肌を整える」「口唇にうるおいを与える」などです。範囲を外れる効能は、化粧品の効能として広告表現できない点に注意しましょう。
なお、有効成分が配合される製品は薬用化粧品に分類されます。薬用化粧品は医薬部外品に含まれる製品です。「肌荒れを防ぐ」「デオドラント効果がある」などの有効成分が含まれる薬用化粧品は、外箱や容器に医薬部外品の表示がなされます。
化粧品製造業や化粧品製造販売業をはじめるには許可が必要
前述のように、化粧品製造業や化粧品製造販売業をはじめる場合は許可が必要です。以下では、許可申請の要件と流れを解説します。
許可申請の要件
化粧品製造業の許可要件は、大きく次の2つの要件に分けられます。
- 人的要件
- 構造要件
人的要件は、化粧品製造業の申請者や責任技術者に関する要件です。化粧品製造業では、薬剤師の資格を持つ者や、高校・専門学校・大学などで、一定以上の薬学や化学の単位を取得した者などの責任技術者を製造所ごとに置く必要があります。
構造要件は、化粧品製造所の設備や器具、環境に関する要件です。化粧品製造業許可(一般)と化粧品製造業許可(包装・表示・保管)それぞれに、薬局等構造設備規則で基準が定められています。
化粧品製造販売業の許可要件は、次の3つです。
- 人的要件
- GQP省令への適合
- GVP省令への適合
化粧品製造販売業でも、許可の申請者と総括製造販売責任者に関する要件が設けられています。その他、GQP省令(Good Quality Practice)への適合、GVP省令(Good Vigilance Practice)への適合が求められます。
GQP省令とは、化粧品の品質管理を定めた基準です。品質保証責任者の設置や市場に化粧品を出荷する際の記録の手順などが定められています。
GVP省令は、化粧品販売後の安全管理を定めた基準です。化粧品の流通責任を負う化粧品製造販売業では、安全管理責任者の設置や化粧品の安全管理に関する情報の収集・検討などが求められます。
許可申請の流れ
化粧品製造業や化粧品製造販売業の許可申請の大まかな流れは次のとおりです。
- 事前相談
- 業者コード登録
- 許可申請書の提出
- 実地調査または書類審査の実施
- 許可証の交付
化粧品製造業や化粧品製造販売業の許可申請は、各自治体の担当窓口で行います。ただし、新規で申請する場合は業者コード登録が必要です。業者コード登録の窓口は厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課となっているので、e-Gov電子申請サービスなどを利用して取得しましょう。
業者コード登録を取得した後、各自治体の担当窓口に許可申請書を提出し、担当部署による実地調査や書類審査が実施されます。自治体の担当部署でも準備が必要となるため、許可申請の際は事前相談を行いましょう。
申請手続きの注意点
最後に、化粧品製造業や化粧品製造販売業の許可申請の際の注意点を解説します。申請手続きでは様々な基準のクリアが必要です。以下では、2つの点をピックアップして紹介します。
申請者が欠格事由に該当すると許可が下りない
申請者に欠格事由がある場合、その他の要件・基準を満たしていても、許可が下りない点に注意しましょう。例えば、薬機法第75条第1項で許可を取り消されてから3年が経過していない場合、化粧品製造業者や化粧品製造業販売業者の業務に必要な知識や経験を持つと認められない場合などは、許可が取得できないことがあります。
※出典:e-GOV法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
保管のみを行う場合は「化粧品製造業の登録」が必要
令和3年8月1日の法改正により、化粧品製造業(一般)や化粧品製造業(包装・表示・保管)の許可に加えて、「化粧品製造業の登録」制度が設けられました。
化粧品の保管のみを行う場合は許可申請が不要で、登録手続きのみで業務を行えます。ただし、一定の条件を満たす必要がある点に注意しましょう。
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化粧品製造は許可要件や注意点を把握することが大切
化粧品は肌や髪など人の身体に触れるものであるため、製造・販売には法律の定めに従う必要があります。化粧品製造をはじめる場合は、事前に許可要件や注意点を把握しましょう。
化粧品製造では、製造や検査、商品の充填や滅菌など、様々な技術が求められます。化粧品製造に関する最新の動向や技術の理解を深めたい方、化粧品製造に関する技術をお持ちの方は、ぜひインターフェックスWeekへの来場・出展をご検討ください。
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▶監修:赤星 恵美子
化粧品開発コンサルタント
立命館大学理工学部化学科卒。化粧品業界20年。大手化粧品メーカー2社、オーガニック化粧品メーカー1社にて、企画開発、処方開発、製造管理等の職種を経験し独立。現在はELATE COSME WORKS(https://elatecosmeworks.com/)の代表として、化粧品の企画開発支援や各種メディアの監修等、幅広く活動中。
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